世界的に犯罪が少ない日本の知られざる「更生保護のリアル」

やり直しのできる社会を目指して
廣末 登 プロフィール

再統合的な日本の刑事政策

日本社会は、アメリカに比べて共同社会性が強く、相互依存が高いとブレスウエイトは指摘する。

なぜなら、①犯罪者が実刑を受けることが少なく、執行猶予が付されることが多い。②保護司やBBS制度の下、ボランティアが多く、更生して社会復帰する者を地域社会に再統合させようとする態度が社会に浸透している。③コミュニティが一致団結して少年らの非行防止に取り組んでいる等々。

日本の犯罪率が諸外国より低いのは、犯罪者が反省し更生意欲が強いならば、地域社会は彼らを社会から追放しない――すなわち再統合的シエイミングを行っているからであるといえる。

〔PHOTO〕iStock

では、再統合的シエイミングの担い手は誰かというと、ブレスウエイトが指摘するように、地域社会密着型の保護司やBBS会員であり、OJT(仕事を通じて行う社会教育)で更生に尽力する協力雇用主などの更生保護ボランティアである。

すなわち、「利他」の心をもった人たちであり、わが国の社会が歴史的に涵養(かんよう)してきた相互扶助の精神を継承、実践している方々である。

 

草の根の更生保護のリアル

外国の研究者は、保護司等のボランティアを、再統合的シエイミングの担い手とみており、日本の犯罪発生率を抑える重要な要因と考えている。

では、実際、彼らがどのような取り組みをしているのか。「安心・安全」な社会のために活動している方々から、筆者は草の根の更生保護のリアルを取材した。

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