世界的に犯罪が少ない日本の知られざる「更生保護のリアル」

やり直しのできる社会を目指して
廣末 登 プロフィール

19年のキャリアを有する保護司の話

最後に、保護観察対象者の社会復帰支援の試行錯誤を、彼らに寄り添いながら支える保護司に話を聞いてみた。

福岡市東区で、保護司19年のキャリアを持つ宮﨑雅敏氏は、協力雇用主の悩みを次のように述べる。

 

協力雇用主の数が徐々に増え、ある年の協議会で「保護観察対象者(以下、対象者)を受け入れる依頼がない」「対象者を受け入れても、1日で辞めてしまう」等の意見が出た。

そこで、平成23年度から立ち上げた「協力雇用主と保護司の連絡協議会」において、長期間頑張って働いている対象者に、その就労先を希望した理由や、なぜそこで頑張れるのか、将来の目標などについて発表してもらった。

彼らのリアルな経験、意識等を、保護観察所、保護司会、就労支援事業所が共有し、「長続きしない対象者」をいかに支援したらよいかという解決策を協議した。この試みは、現在も継続している。

当地では、対象者の就労先を検討する際、彼らの出身中学を聞き、同じ母校出身の雇用主に依頼している。親の言うことを聞かない対象者でも、先輩の言葉は耳に入るからだ。

〔PHOTO〕iStock

もうひとつ特徴的なこととして、対象少年の面接時、同行した保護者に「当社に預けたからには、一年間は黙って見守ってほしい」という雇用主がいる。

私はこの考えに賛成である。中学校を卒業したばかりの少年に「自分の仕事を見つける」ことは難しい。

厳しい現実社会で、どのような仕事でも一年間頑張ってみれば、「自分でもやれる」という自信が生まれる。社会人としての自覚を持ち、次のステップを模索する。社会人スタートアップの支援が、地域社会における先輩の役割だと思う。

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