「理学療法士はいないんですか?」
『ワイドナショー』の反響はとても大きかった。
「頑張ってください」「励みになります」……ツイッターなどで寄せられるメッセージはほとんどが熱い応援メッセージだった。
「今回のプロジェクトのことを知って、もう一度応援したいと思いました」という声もあれば、「ずっと応援していました」という声もあった。久しく誰かに応援されることがなかった私には、胸にこみ上げるものばかりだった。
もしロボット義足で四肢欠損の私が歩けるようになったら、足を失って失意の底に沈んでいる人に、これから義足を使うことになる人に、もしかしたら障害以外に困難を抱えている人に、大きな勇気を与えることができるかもしれない――そう考えて参加したプロジェクトだったが、いちばん勇気をもらっているのは、じつは私なのかもしれなかった。
だからこそ、しっかり歩けるようになった姿を見せることで、こうして応援のメッセージを送ってくださる方々に恩返しをしなければ。私は決意を新たにした。
「理学療法士はプロジェクトに参加していないんですか?」
『ワイドナショー』放送後に、そんなコメントをくださる方もいた。
なるほど、考えたこともなかった。理学療法士とは、ケガや病気などで身体に障害のある人に対して、立つ、座る、歩くなどの基本動作能力の回復や維持を目的とした医学的リハビリテーションを行う専門職で、まさに「身体のプロ」である。
一方、遠藤氏、沖野氏、小西氏は、いわば「義足のプロ」だ。最先端のテクノロジーとデザインが結集した義足プロジェクトを進めていくうえで、これほど心強いメンバーはいない。だが、義足を装着して歩く私の肉体を、安心して委ねられる「身体のプロ」の存在が必要なのではと感じさせられた。
さっそく遠藤氏に連絡を取ると、まさに遠藤氏もその必要性を考えているところだった。
「理学療法士としての信頼感に加えて若い世代を条件に人選しています」
私たちのプロジェクトに、新たなメンバーが加わることになった。
構成/園田菜々
次回は7月28日公開予定です
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