もっと深い部分で患者さんとつながりたい

スポーツに関わりたいという高校時代のウッチーの思いは、実際の臨床経験を経て、もっと深い部分で患者さんとつながりたいという思いへと変わっていった。

「脳卒中などの患者さんなら、退院後も家で支障なく快適に暮らせるように、部屋の中の家具やベッドなどの配置、お風呂やトイレの設計などにまで、理学療法士が気を配ることを知りました。そういうふうに患者さんの人生に関わるのは、やりがいがあるしおもしろそうだと思ったんです」

2月に行われた理学療法士国家試験にも無事合格し、大学を卒業したウッチーは柏市内の総合病院で働くことになった。

しかし、働き始めて数ヵ月でひとつの壁にぶつかる。

おなじ症状で診療を繰り返す高齢者がとても多いことを知ったのだ。いつもおなじ人がおなじ身体の痛みを訴えてくる。ウッチーは、予防医学の重要性に対する認識が深まらないと高齢者医療の抱える問題は改善されないと痛感した。

日本人はもっと若いときから身体のことを考えるべきだ……」

理学療法士として1年目のウッチーは、そう悩みはじめた。いまの自分に何ができるのかは見当もつかなかったが、まずは病院以外の世界に知見を広げることを心がけた。休みの日を使って、スポーツやフィットネスのイベントに参加したり、海外留学のイベントのボランティアスタッフを務めたり、人に話を聞くインタビュアーの仕事もした。

頑張りすぎて体調を崩す

ところが、その結果、ウッチーは体調を崩してしまった。

前向きに動きすぎたために、電池切れ起こしてしまったのだろう。

ウッチーは病院を退職した。

ちょうどそのタイミングだった。現在勤務しているトレーニングジム「ディーアクション(D'ACTION)」代表の三宅修司氏と出会う。ウッチーは「予防医学の重要性」について熱く語り、三宅氏は真剣に聞いてくれた。そして、「その思いは若い人を対象にしたパーソナルトレーニングでこそ実現できるのではないか。ぜひいっしょに働こう」と誘われたのだった。ウッチーは、いまもフリーの理学療法士としての活動を続けながら、ディーアクションでインストラクターとして働いている。

ディーアクションにて 写真提供/内田直生

そんな若き理学療法士・内田直生氏に、遠藤氏は白羽の矢を立てた。じつは、義足エンジニアの遠藤氏と三宅氏は旧知の仲で、遠藤氏から相談を受けた三宅氏が太鼓判を押して紹介したのがウッチーだったというわけだ。

ウッチーはとても聞き上手な理学療法士だ。私との練習時はもちろんだが、遠藤氏や沖野氏にもなんでも相談して教えを乞うし、他の理学療法士のアドバイスにも耳を傾ける。自分の経験と知識を総動員しながら、最適なトレーニング法を日々模索してくれている。そんなウッチーとならきっとうまくいく。

「2019年は楽しい1年になりそうだな」

メンバー全員がそう感じながら、義足プロジェクトは新しい年を迎えようとしていた。

構成/園田菜々

次回の公開は8月4日公開予定です

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