地元住民へのアンケートはセブン‐イレブンを支持
鹿児島県もまた、ファミリーマートとローソンが地元企業と合弁でエリアフランチャイザーを設立して店舗展開をしている。
ファミリーマートは、白波で有名な薩摩酒造のグループ会社・本坊商店と合弁で南九州ファミリーマートを1993年に設立。トップシェアを握る。
ローソンは、鹿児島最大の財閥・岩崎産業(観光・交通事業などを手掛ける)とともにローソン南九州を設立、急成長を遂げた。それぞれが、地元の異なる有力企業とタッグを組んで、サポート基盤を強固なものにしている。
「セブン‐イレブンは2011年に鹿児島に出店を始めました。このあおりを受け鹿児島、熊本両県に店舗を展開していた南九州サンクスはローソンに身を寄せることになり、最大手のファミリーマートに肉薄します。しかしセブン‐イレブンも、それまでローソンと友好関係にあった薩摩藩主の子孫が経営する島津興業を引き込み200店舗を超える出店を実現していますから、図らずも地元企業に対するセブンの強さを見せつけた格好になったわけです」(大手流通記者)
現在の鹿児島県での勢力図は、ファミリーマートが276店舗、セブン‐イレブンが204店舗、ローソンが197店舗だ。
しかし、大手コンビニ幹部は沖縄の特殊性を次のように指摘する。
「沖縄は本土とは違う。商品開発にしても、地元商品の調達にしても、店長やアルバイト社員の募集にしても地元企業の協力なしにはできない」(沖縄に詳しいコンビニ関係者)
事実ローソンは1997年に単独で沖縄に進出したが苦戦を強いられ、12年後の2009年に沖縄の大手スーパーチェーン、サンエーと共同出資しローソン沖縄を設立、息を吹き返したという経緯がある。
それでもセブン‐イレブンが強気なのは、地元住民1万人のアンケート調査で本土のセブンの味に期待している人が全体の65%もいるという結果からだ。
浦添市のべんとう・総菜工場の運営は、これまでセブン‐イレブンの総菜を作ってきた武蔵野グループ(本社埼玉県)が担い、スイーツ工場は九州の工場を担当しているフリジポート(本社東京)が運営する。
地元限定商品の独自開発にも自信をのぞかせる。
「これまで地方のエリアごとにその地域に密着した商品を開発し、急成長を遂げてきた歴史がある。オープンとともに地元で開発された沖縄限定商品13品を販売する」(セブン‐イレブン広報担当者)

さらに沖縄でも人手不足は深刻な問題となっている。
「沖縄でも人手不足は深刻。特にコンビニのように何時間も店を見ていなければならないような仕事は沖縄の県人は好まない。それでもコンビニ大手2社の人が集まるのは地元の名門企業のブランド力。はたしてセブンにそれがあるのか」(コンビニ業界事情通)
そうした中で、セブン-イレブンは3月から全国で随時導入が始まっている什器や沖縄初の自動釣銭機などを全店に導入。4時間(223分)の省人化を可能にするという。
はたして、セブン‐イレブンはファミマ・リウボウ連合、ローソン・サンエー連合を向こうに回してどこまでシェアを伸ばしていけるのか。
セブン‐イレブン関係者は、「いずれは黒字化する」というが、道のりは決して平坦ではない。
沖縄でのコンビニの熱い戦いは、スタートしたばかりだ。