2週間程度で効果が

義足歩行の練習は、週に2回のペースで行っている。1回はウッチーと、もう一回が北村と行う自主トレだ。この2日間は歩行を中心にした練習で、私ひとりではできないものだった。だが、片足立ちの筋トレは私ひとりでも行えるので、なるべく毎日ちょっとした空き時間を使って行っている。

年末から「note(https://note.mu/h_ototake)」への投稿を始めた。「note」は文章や画像などを自由に公開できるプラットフォームだが、そこで私は、連載小説や義足プロジェクトの状況から、ワインや落語や歌舞伎の話に至るまで、さまざまな記事を公開している。じつは、その執筆時間の合間がストレッチや筋トレにはうってつけなのだ。

原稿が行き詰まったとき、パソコンに向かう時間が長くなったとき、机に手をかけて腰を伸ばすストレッチをしたり、すぐそばにあるソファーまで移動して片足立ちのトレーニングをしたり。 

毎日そんなことを繰り返していると、1月の終わりにはさっそく効果が現れはじめた。

ウッチー、左の片足立ち、30秒は余裕でいけるようになってきた

筋肉がついてきたのが自分でもわかってきた。

「乙武さん、歩くときにちゃんと内転筋が使えていますよ」

ウッチーにもそう言われた。

撮影/森清

私はそれまで内転筋と腸腰筋を上手に使えていなかったようだ。内転筋とは、股関節の内側についていて、太腿を内側に閉じるときに使う筋肉のこと。腸腰筋とは、股関節の前側についていて、太腿を前に曲げるときに使う筋肉のことだが、身体がLの字に固まってしまったせいで、腸腰筋と股関節の外側の筋肉が縮んで硬くなり、その反動で内転筋が伸びきっていたのだ。

しかし、股関節のストレッチで腸腰筋などを伸ばし、片足立ちの筋トレで内転筋を鍛えはじめたところ、臀部の筋肉までもが機能しはじめたのである。

「あ、大臀筋が使えていますよ」

歩行練習のとき、後ろからサポートしてくれるウッチーが、私のお尻に手を当てながらささやいた。