「足先を感じる!」

ストレッチと筋トレの効果はもうひとつ。

腰痛がすっかり解消されたのだ。腰痛も、股関節が硬く内転筋や大臀筋が伸びきったLの字の身体が原因だった。そのLの字を無理やり伸ばして歩くのだから、腰に大きな負担がかかるのは当然のことだ。まだ完全にIの字になったとは言えなかったが、義足を履いて立つ私の姿勢は前よりもずっとよくなっていたし、筋肉を使って歩く感覚をつかみはじめていた。

2月13日、この日のウッチーとの練習は遠藤氏や沖野氏も見学していた。

撮影/森清

いつも通りに義足を装着し、北村に支えられて立ち上がる。右足の断端に重心をかけ、左足を振り出そうとしたときのことだった。

足先を感じる!

私は驚きの声を上げた。

「いま、たしかに、膝から下に足があるように感じた。腓骨というのかな」

そう言うと、例によってウッチーの質問攻めが始まった。

「足先を感じるのは右足ですよね。親指や小指も感じますか?」
「腓骨の横の脛骨はどうですか?」

最後にこうも言われた。

きっと、脳の皺にもしっかりと記憶が刻まれましたよ

脳を使って歩くのがオトタケ流なのだ。

その日は、平行棒内の歩行と室内の5メートル歩行をそれぞれ2往復ずつ行った。満足のいく練習になった。ソケットを外すと、沖野氏が断端に触れてきた。

「うーん、両足ともけっこう太くなってますね。前まではぷよぷよだったのに、筋肉がついて固くなっています

沖野氏は目を丸くしながら、「ソケット、新しく作りかえなきゃな」と興奮気味に声を上げる。

私の身体は明らかに変わりはじめたようだ。なんだかアスリートになったような気分だ。

こうして私は、40歳を過ぎてから、肉体改造に励むことになったのである。

構成/園田菜々

次回の公開は8月11日予定です

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