2019.08.28
# 本

読書垢が熱狂した「この講談社文芸文庫がすごい総選挙」の一部始終

予想を超える熱気と活気…その結果は?
あさだ プロフィール

「総選挙」の結果

集計作業も道半ばのまま、7月6日(土)の夜明けを迎えた。

他の文庫に比べれば短いが、何といっても創刊以来31年の歴史を持つ講談社文芸文庫である。今日までに刊行した作品は1200点余り。私が眠っている間にも、それら一冊一冊に、バラバラに票が投じられている。やってやる! という気持ちが沸き立ってきた。

が、私はここで、自分の迂闊さに気付いて蒼ざめた。それというのも、集計の方法については考えていたものの、肝心の、「いつ」までに区切ってそれを行うかということには、気が回っていなかったのだ。

検索してみると、タグへの「投票」は続けられているものの、そのペースは一昨日、昨日の爆発的なものではなく、次第に収まりを見せつつあった。結果に反映される「投票」の期日は、6日いっぱい――時間にして2日半の短期決戦とすることが妥当かと思えた。

集計する最中にも、様々に温かい労いと激励のお言葉を頂戴した。また、収められた作品と言うよりかは、文芸文庫というレーベルそのものの魅力と「すごさ」について語る方々もいらっしゃる。

講談社文芸文庫というレーベルが、予想以上に多くの人々から支持され、何より愛されていることを感じ、励みになった。

既に「投票」された分の集計が終わる頃には、夕刻となっていた。

私は夕食を摂るのを忘れたまま画面に張り付いた。リツイートするとともに、作品別の投票結果を小出しにする。勢いは収まったものの投票は少しずつ続いており、一つ一つを拾い上げ、エクセルに打ち込むと、思わぬ作品が伸びを見せ、上位層に食い込み、先程までのトップを抜いてゆく。作家別ではある作家が他を引き離し、圧倒的な伸びを見せている。その様を、競馬の実況よろしく煽り立てる。

 

やがて――7月7日(日)の午前零時を迎えた。

Twitterには投下済みだが、結果を示しておきたい。

#この講談社文芸文庫がすごい総選挙結果

結果を見てみると、大江健三郎、埴谷雄高といった、文学好きにはよく知られたメジャーな作家とその作品が上位層に多いのは想定内であったが、吉田知子、野溝七生子、竜胆寺雄といった、さほど知られていないと思われる作家と作品が上位に食い込んだことに、まず驚かされる。何よりも、作品別で藤枝静男が大江健三郎を抜いて1位を取ったことには、仰天した。

海外文学も健闘した。上位10位以内に『白鯨』『アルゴナウティカ』が入ったのである。

作家別の方では、吉田健一が圧倒的な支持を受け、2位以下を引き離しての1位と相成った。2位は小沼丹、石川淳と続くが、著者別の投票を行ったことで、どれだけ多くの方々が「作家読み」をされているのかが見えて来た。

作家別ランキング

いずれの結果からも文芸文庫の手広さと奥行きを知り、また、それを読まれる参加者の皆さんの知識量に、ただ脱帽した。

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