埼玉も冠水する
アメリカのニュージャージー州に本部を置く科学者集団かつニュースメディア団体のClimate Centralは、2015年からホームページ上に「Surging Sea Mapping Choices」というツールを公開し、世界各地で気温上昇が2℃と4℃の場合でどれほど海面が上昇するかを示してくれている。

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上の図が、Surging Sea Mapping Choicesに示されている東京湾近郊の気候変動による海面上昇マップだ。
これによると、右側の2℃上昇でも、工業地帯が密集し、一部新興住宅地のある東京湾岸は全域で常時冠水してしまう。
また、東京都の地勢は、東西に細長くひらけており、西部の山地、 中央部の丘陵地と台地、東部の低地と大きく三つに分けることができる。
この「東京低地」に当たる墨田区、江戸川区、葛飾区、荒川区は、実際に海抜0m地帯にあり、水のリスクが高い。この辺りも2℃上昇で冠水してしまう。さらに利根川流域でも広範囲が冠水地域となってしまう。
4℃上昇となると、冠水地域は大きく拡大し、東京都と埼玉県の東部が広範囲に冠水してしまう。千葉県や神奈川県の湾岸地域でもさらに内陸まで冠水地域が広がっていく。この状態で、危惧される太平洋での大地震による津波や豪雨が発生すれば、さらにその周辺にも洪水・浸水リスクが生じる。
もちろん事態が発生する前に、堤防を高くすることで、冠水を未然に防ぐ措置を政府が施すことは十分に考えられる。しかしその場合にも、景観や費用面で社会的なコストがかかることは避けられず、また対策を打っても堤防決壊等のリスクがあることには変わりがない。