女性好みの食が流行する理由
平成の30年間、食の分野で流行したものは本当にたくさんある。
最近だけでも、タピオカミルクティー、チョコミント、かき氷、パクチー、スパイスカレー、海南チキンライス、高級食パン、コッペパン、フルーツサンド、熟成肉、富士宮焼きそば、ハイボールなどいくつも思い浮かぶ。
古めのものでは、ティラミス、マカロン、カヌレ、ベルギーワッフル、もつ鍋、ホルモン焼き、讃岐うどんなどがあり、挙げればキリがない。
目立つのは、女性が中心になっている流行だ。なぜ、女性好みの食が流行しやすいのだろうか。

考えられる原因の一つは、食の流行化現象自体が、女性誌主導で始まったことだ。
『ファッションフード、あります。』(畑中三応子、紀伊国屋書店)によれば、食のファッション化、つまり流行化現象が始まったのは、1970年に『anan』が創刊されたことがきっかけだ。
加速させたのが、1988年に創刊された『Hanako』だ。どちらも版元はマガジンハウス。同社が流行化を促進したと言えるのかもしれない。しかしもちろん、マガジンハウスだけが流行を作るわけではない。それは二つの時代背景を掘り下げると分かる。
昭和の流行はどんなものか
1970年は、外食元年と言われた年である。
この年、世界の食が集合した大阪万国博覧会が開かれ、ファストフードやファミリーレストランのチェーン店が次々とオープンし始めた。
1970年にはケンタッキー・フライド・チキン、すかいらーく、フォルクスが、1971年にはマクドナルド、ロイヤルホスト、ミスタードーナツが1号店を開いている。