ローン地獄でAVに出演する銀行OL
「最初は高校の友だちと香港にいくためにカードで借金したんです。月々の返済は最初20万円と思ってたんだけど、ここのところ何カ月も50万円前後が続いてるの。私、AVに出演した去年の暮れに、借金は大体 400万円ぐらいかなぁ……って思ってたんだけど、ほとんど減ってないみたい。まだ300万円以上あると思うけど、よく覚えていないからわかんない」
洋子(仮名・25歳)は、まるで人ごとのように言う。
「このままとめどなくいったら、借金が700万円くらいに膨れ上がっちゃうんじゃないかなって思い始めたら、急に怖くなってきちゃったの。どうしよう。どこでどうお金を工面しようか、ってそればっかり考えてたの。そのとき、短大時代の友だちから、AV女優にスカウトされたことがあるって話を聞いたの。じゃあ私も、ってAV会社に自分で電話して応募したの。でも、あまりお金にならなかったから、今は会社が終わってからヘルスで働いてるのね」
洋子は、相手に甘えるようなネットリとした口調でしゃべる。大手都市銀行の本店に努めているというので、私は明るくて話し上手な女性を想像していた。だが、洋子は少し違っていた。私と目を合わせようとせず、やや下を向きながら小さな声で話す。
しかも接続詞をふんだんに使い、語尾を伸ばしながらしゃべる。いかにも頼りなげに――。
現役の女子行員がAVに出演しているとわかれば、大スキャンダルである。私はスタッフに実際にその銀行にいって確かめてもらうことにした。
洋子は確かに外国為替のセクションにいた。だだっ広いフロアの奥で銀行の制服に身を包み、決して機敏とはいえない動作で事務をこなしていた。
埼玉県出身の洋子は、お嬢さん学校として有名な私立女子高から短大を卒業後、現在勤務する大手都市銀行に就職した。50代の父は都内の中小企業に勤めるサラリーマンで、やはり50代の母親と3人で暮らしている。3歳年上の姉はすでに嫁いで実家を出ている。
洋子の出演するビデオを撮影した監督は、
「彼女の言う通り、自分で売り込みの電話をかけてきたんです。写真付きの銀行の社員証も見せてくれましたよ。金遣いが荒く、カードローンで破産寸前だということでした。都市銀行に勤めているOLがカードローンのためにAV出演というのはちょっと滑稽な話なので、最初はストーリー物を作ろうとしたんです。でも彼女、飲み込みが悪いんですよね。セリフも覚えられないし、演技も上手くできない。それで仕方なくドキュメントものにしたんです。そのビデオ、実は埼玉にある洋子の実家で撮りました」
と教えてくれた。洋子の出演するビデオは本番ありである。