クラブから覗き部屋へ――半年間だけのバブル生活
「そのころ、コーポで暮らしてて、ちょうど引っ越ししたいなって思ったから『引っ越したいんだ』ってパパに言ったら、『じゃあ』って、麻布にある1LDKのマンションを借りてくれたの。家賃は18万円。あるとき、『部屋借りてあるよ。適当に家具も入れておいたから』って連絡が来て、案内されてみたら、ベッドから洋服ダンスまで高級家具がバアッと入ってたの。 29インチのテレビとか、コンポとかも。衛星放送まで全部入れてくれてあったのよ」
ミドリ(仮名・29歳)は、笑いながらアップテンポで語った。全身を黒いドレスで包んでいるが、90センチあるバストがやたらと目立つ。その割に童顔で、そんなアンバランスさが、私には魅力的に見えた。
「自分の体一つでそんなにしてもらえて、どう思ったの?」
私が訪ねると、ミドリはやや大きめな歯を見せて笑った。
「気にしなかったというか、好きだったから。パパと一緒にいられてラッキーィ!とか、そんな感じ。ここまでしてもらっていいのかなと思ったけど、まっいいかってカンジ」
ミドリは不動産の仕事をする「パパ」(当時44歳)と3年近く前、彼女の働いていた新宿の大衆的なクラブで知り合った。のちにその店はつぶれてしまうが、最盛期は月120万~200万円の給料をもらっていたそうだ。
「パパはパッと見、その辺にいる普通のおじさん。仕事が忙しくて寝る暇もなくて頭なんかボサボサっとしてるから、きっとその辺を歩いていたら、誰にも相手にされないカンジ。背も高くないし、すごく痩せてるし、肌は地黒じゃないのかな。でもよく見るとブランドのいいヤツ(スーツ)を着ている。でも私、パパのこと気に入ってたの」
「あるときは、10万円とかポンッと置いてってくれたのね。月収にしてみると、最低でも30万円は貰ってたわね。それと家賃。買い物に行くと言うと、その都度くれたし。なんだかんだで100万円以上になっていたと思うのよ」