終身雇用は終わる
筆者が20代の若者に実施したインタビューでも、「時間を奪われることが最悪のパワハラだ」という声が非常に多かった。
コスパと同様に「タイムパフォーマンス」が極めて大切なのだという。
そんな彼らが「最短距離でゴールする」ために退職代行を使うことは、ごく自然なことといえる。
退職代行の人気は、表面的な一つの現象に過ぎない。このことから本当に考えなければいけないのは、「退職、転職なんて普通でしょ」という若者の働き方を、オトナ世代がどう受け止めるかだ。

トヨタ自動車でさえ、終身雇用の維持は難しいという時代。一生を同じ会社で過ごすという働き方は、もはやリアリティがない。転職はもちろん、副業やパラレルキャリアも徐々に浸透しつつある。
特に若者世代はSNSを通じていくつものコミュニティに自然に出入りしていて、クローズドなタテ社会の中での仕事よりも、目的に応じて働く仲間がヨコにつながる「プロジェクト型」の仕事に馴染んでいる。
とはいえ会社の視点に立てば、「辞めるならいつでもどうぞ」というわけにもいかない。大企業ほど、まだまだタテ社会の文化を残している。
そんな狭間の時代に生まれた徒花のようなサービスが退職代行だといえる。他ならぬEXITの代表が語っているように、本来は不要で、いつかなくなるべきサービスなのだ。