抜け道を探すのが人間の知恵である
3つ目の問題点である。
トヨタ生産方式では、製品検査をするのではなく、生産工程で不備を見つけることを重視する。そして、もっと重要なのは「犯人探しでは無く、原因探しを行う」点にある。言ってみれば「罪を憎んで人を憎まず」の精神だ。
だから、誰もが自分が問題の責任者として非難されるのを恐れることなく、「問題点」と「その改善点」をオープンに議論できる。
ところが、最近頻繁に起こっている「コンプライアンス騒動」では全く逆だ。「犯人探し」に躍起になって、「個人へのバッシング」を楽しんでいるとしか思えない。これでは建設的な「カイゼン」など生まれようが無い。
投資の神様ウォーレン・バフェットは、買収先の企業の経営に口を挟まないことで有名だが、年に1回の報告はそれぞれの経営者に求める。
その時には、どのような報告が上がってきても絶対に非難めいた言葉を発しない。そんなことをすれば、次からその経営者は悪い内容の報告を避けようとするからである。
「どんなに悪い内容の報告でも、それに対処する方法はあります。でも、報告さえされずに存在を知らなければ、対処の方法が無いですからね。経営者の皆さんには一番悪いことから報告するようにお願いしています」というのが、バフェットのやり方だ。