2019.08.21
# 米国

トランプ万事休す? ロシア疑惑「元特別検察官」が衝撃証言した中身

メディアが報じぬトランプの真実(2)
立岩 陽一郎 プロフィール

初めて語られた疑惑の真相

モラーは4月にロシア疑惑を巡る捜査報告書を提出している。

報告書は、トランプ陣営とロシアとの共謀は認められなかったとする一方で、トランプ大統領による司法妨害(モラーの特別検察官解任を命じたことや捜査妨害を図ったこと、トランプの選対幹部がロシア人と面談していた事実を隠そうとしたことなど)を詳細に明らかにしている。

それを受けて議会の調査が始まり、公聴会が開かれたのである。今年5月末に特別検察官を退任したモラーが、在任中も含め、初めて公の場で大統領の疑惑の真相を語るときが来たとして、全米の注目を集めていた。

ロバート・モラー元特別検察官〔photo〕gettyimages

ナドラー委員長の声がさらに響き渡る。

「その(特別検察官を務めた)22ヵ月間で、あなたは悪質な個人攻撃にさらされようとも、一度も公の場で語ることはありませんでした。そして、いくつかの起訴で、その批判に答えました」

それを緊張気味の表情で聞いているモラーは、ダークスーツと白いシャツに、小紋柄の入った紺のネクタイを締めている。常に一貫して崩さないスタイルだ。

 

スーツはブルックス・ブラザーズだろう。この元FBI長官にして元特別検察官は、常にブルックス・ブラザーズのダークスーツを着用することで知られている。ネクタイも、私が知る限り基本的にブルー系統だ。間違っても、トランプ大統領が愛用するような赤いネクタイなど締めるものか──と本人が思っているかどうかは知らないが。

ナドラー委員長はさらに、モラーの捜査チームがロシア政府の大統領選挙への関与を明らかにし、トランプ選対の幹部など37人を起訴したことなどを語った。

「報告書には、トランプ大統領がさまざまな形で捜査に影響を及ぼそうとしたことが書かれています。特に衝撃的だったのは、トランプ大統領がホワイトハウスの法務官に対し、あなたを解任するよう指示していたことです」

委員長の言葉は当然、大統領や共和党に向けた批判としても発せられている。それを意識してか、聞いているモラーはどことなく落ち着かないような、居心地が悪そうな様子に見える。

SPONSORED