2019.08.21
# 米国

トランプ万事休す? ロシア疑惑「元特別検察官」が衝撃証言した中身

メディアが報じぬトランプの真実(2)
立岩 陽一郎 プロフィール

「でっちあげではありません」

どちらの質問にも緊張を強いられたはずである。なぜなら、民主党はさらに明確な形でモラーから「大統領の不正」の証言を引き出そうとしていたし、片や共和党は、モラーが特別検察官の権限を超えた捜査を行った疑いを強調したがっていたからだ。失言は許されない。

緊迫した公聴会の質疑が終わった直後、トランプ大統領はホワイトハウスで報道陣にこう語った。

「(ロシア疑惑の)すべてが、長い間続いた、まったくのでっちあげだった。魔女狩りだった。今日の公聴会で、それがでっちあげで魔女狩りであることが明らかになった。(自分には)何も間違ったことはなかった。壮大なでっちあげだったんだ」

しかし、このトランプのコメントの内容は、すでにモラーから真っ向から否定されていた。司法委員会に続いて開かれた諜報委員会(公聴会は司法委員会と諜報委員会の両方で行われた)で、アダム・スキッフ委員長(民主党下院議員)がモラーにこう問うていたのだ。

──この捜査は魔女狩りでしたか?

「いいえ、魔女狩りではありません」

──ロシアの大統領選挙への関与というのはでっちあげた話でしたか?

「いいえ、でっちあげではありません」

このときのモラーの口調も淡々としたものだった。

事実とは異なることを声高に主張して攻撃するトランプと、そうしたいわれなき批判に穏やかに答えるモラー。その違いは誰の目にも歴然としていた。

 

モラーへの個人攻撃

先に、司法委員会でナドラー委員長が語った「あなたは悪質な個人攻撃にさらされようとも、一度も公の場で語ることはありませんでした」という言葉を紹介したが、このモラーへの「個人攻撃」の多くは、実はトランプ大統領によって繰り出されたものである。

たとえばトランプは、モラーが自分に個人的な恨みを持っていたとして、こう語っている。

「(モラーと)面接を行い、彼はFBI長官になりたいと言ったが、俺はそれを認めなかった。さらに、我々はビジネスをする話もあったが、俺はそれも認めなかった。だから彼は俺に良い印象を持っておらず、突然、この(特別検察官の)ポジションに就いたんだ」

つまり、モラーはFBI長官にしてもらえなかったことと、ビジネスを一緒にさせてもらえなかったことで、トランプ大統領に恨みを持っていた──という理屈だ。これはあまりにも低次元の中傷としか思えず、大統領選挙期間中からトランプの側近だったスティーブン・バノン(元大統領首席戦略官)でさえ「愚かしい(発言)」と批判している。

これについても諜報委員会でモラーに質問が飛んだ。共和党のグレッグ・ステューブ議員はこう尋ねた。

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