2. 糖尿病、肥満
糖尿病も、「ほぼ確実にリスクをあげる原因」です(*1)。先ほども述べたように、室井佑月さんも糖尿病を患っていました。糖尿病は、まれに、自己免疫機序でなってしまう、防ぎようのないものもありますが、通常、食習慣や運動習慣がなりやすさと大きく関わっています。遺伝的な要素も関与も大きいですが、カロリーを取り過ぎない、適度な運動をするのがよいでしょう。
閉経後の乳がんでは、肥満は「ほぼ確実にリスクをあげる原因」と考えられているので(*1, 2)、閉経した女性たちは、体重が増えすぎないように注意しましょう。また、欧米人の女性においては、30歳くらいまでの若い頃の肥満は逆にリスクを下げるとされていますが(*2)、日本人などのアジア人では、肥満は閉経前においても乳がんリスクを上昇させる可能性があると言われていますので(*1)、太らないほうが賢明でしょう。
ただし、注意すべきは、ここで言う「肥満」はあくまで医学的な定義であり、BMI〔Body Mass Index, 体重(kg)を身長(m)の2乗で割ったもの〕が24~25を超えなければ大丈夫です。身長160cmだと、61kgを超えなければよく、「少しぽっちゃり」でも問題はありません。
3. アルコール
飲酒も、リスクの上昇がほぼ確実で、飲む量が多いほど乳がんのリスクも高くなると言われています(*1)。はっきりとした閾値は設定されていませんが、1日エタノール10g程度の飲酒でリスクの軽度上昇が見られます。また、1日同50gの大量飲酒する女性では、乳がんのリスク上昇は飲まない人に比べて1.5倍になると言われています。

では、エタノール10g程度というのはどのくらいの量なのでしょうか。アルコール度数5%のビール350ml中に含まれているエタノールの量は14gです。アルコール度数15%の日本酒であれば、1合で22g程度です。「エタノール10g」はビール1缶にも満たない、比較的少ない量であることがおわかりいただけると思います。少量のアルコールでも、毎日飲めば乳がんリスクが上がるので気をつけましょう。