「俺は逆境に強い」

だが、どうしても身体がこわばる。

だいじょうぶか。

30人の参加者の視線がいっせいに注がれる。

だいじょうぶか。

撮影/森清

「俺は逆境に強い」と自分に言い聞かせる。

丁寧に、慎重に、足を振り出す。

左足から。

1週間前のアクシデントが目に焼きついているプロジェクトメンバーたちは、内心ヒヤヒヤだったに違いない。ところが、意外にも、前回よりずっと調子がいい。歩行のリズムがとれるようになると、私はアクシデントのことをすっかり忘れていた。しかしそうは言っても、静養明けのぶっつけ本番だ。前回記録した5メートルを超えたあたりから、急に疲労を感じ、身体全体が重くなってきた。

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最後の力を振り絞り、「ダメだっ」と前にいる北村に倒れかかる。

7メートル15センチ!

計測したスタッフが興奮したように声をあげると、全員がわっと沸き立った。
くう、残念。あと15センチで自己ベストだったのに。