GSOMIA破棄の衝撃…韓国・文在寅に対抗するには「攻守」が必要だ

国際法vs.歴史認識をどうすればいいか
篠田 英朗 プロフィール

歴史認識は「守り」が必要

歴史認識については、守りの態度が必要だ。

慰安婦問題や徴用工問題は、残念な歴史である、という考え方を反映した態度が必要だ。居直りと見なされるような態度は、韓国世論に対してだけでなく、国際世論に対して、得策ではない。

民族の独立への思いに対する尊重や、苦難の人生を送った者への敬意の表明は、日本側も躊躇すべきではないと思う。そういう人間味のある言葉が、日本側からももう少しなされていい。

韓国人への敬意の表明は、日本が韓国に対して抱いている優越心なるものが歴史の遺物でしかないことを明らかにすることにもなる。

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21世紀の現代世界において、日本人が韓国人に対して抱く優越心などには根拠はない。そのことを普通の日本人はよく知っている。

韓国は、むしろ実力が拮抗するライバルである。だからこそ、譲歩による解決が、日本社会で説得力を失っているのである。そのことを、韓国及び世界に、知らしめていかなければならない。

 

元徴用工をめぐる具体的な史実をめぐる情報も、しっかりと欧米人なども簡易に参照可能な形で、提供していかなければならない。双方が納得し合うことが困難な問題であるからこそ、国際世論に影響を与える第三者が見る情報の提供が重要になる。

根源的な問題は、日韓併合の歴史認識である。韓国は、歴史認識の問題として、これを「植民地主義(colonization)」の問題として捉え、国際的なキャンペーン活動もしている。しかし実際には「併合(annexation)」である。

慰安婦問題を「性奴隷(sex slave)」とする言葉遣いが、国際的に広まってしまった(参照:日本はなぜ慰安婦問題で韓国に敗北したのか)。そのために、「強制的失踪委員会」が、日本政府の慰安婦問題に対する対応を遺憾とする見解を表明するなどの、あってはならない弊害が発生している(参照:「徴用工」問題を機に、日本は国際法対応の充実を急げ)。

日韓併合を「植民地主義」の問題とする言葉遣いの流通を黙認していれば、やはり広範な悪影響が及ぶことになるだろう。

韓国では、欧米の大学で学位をとった者が帰国し、高い社会的地位を得る確率が、日本の場合よりも、圧倒的に高い。アメリカの大学教員や大学院学位取得者らが好みそうな言葉遣いで「歴史認識」を表現していくことを、相当に政策的に行っている。

「植民地主義(colonialism)」は、欧米系の大学では「Colonial Studies」という近年に確立された分野との連動性を強調するという点で、含意のある言い方だ。こうした点に、日本の大学受験・司法試験・公務員試験だけで社会的地位を得ている日本のエリート層は無頓着なのだろうが、よく注意しておかなければならない。

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