GSOMIA破棄の衝撃…韓国・文在寅に対抗するには「攻守」が必要だ

国際法vs.歴史認識をどうすればいいか
篠田 英朗 プロフィール

日韓併合当時の国際社会では、強制的な条約による国家併合は違法ではなかった。

アメリカは19世紀を通じて独立国とみなしていたハワイを1998年に議会の議決を根拠にして併合し、真珠湾に軍事基地を建設した。日本は軍艦を送ってけん制したりしていたが、結局これを認めた。

アメリカは米西戦争を通じて、スペインにフィリピンを1898年に譲渡させた。フィリピン人の独立運動はアメリカによって軍事的に鎮圧された。1905年の桂・タフト協定は、大日本帝国がフィリピンに一切野心を持たないことと、アメリカが日本の大韓帝国の保護国化を認めることを、交換的に、確認したものだった。

ヨーロッパを見れば、例示の必要もない。少なくとも数百年の歴史を通じて、「勢力均衡」などを理由にした隣国の「併合」政策は、無数に行われていた。そのような行為のことを、「植民地主義」とは呼ばない。

 

日韓併合を美化すべきだ、ということではない。しかし「植民地主義」の結果だったという歴史認識が確定してしまえば、実態とは乖離した人種差別や排外政策および迫害のイメージが、史実とは関係なく、独り歩きしてしまうのである。

日韓併合の背景には、韓国には韓国なりの、日本には日本なりの事情があった。正面から向き合って一つだけの真実を探し出そう、などと呼び掛けても、絶対にまとまらない。ただ、冷静に歴史を語っていく機会を増やしたい。

戦前の日韓の歴史については、淡々と、事実を記述していく研究を、もっと推奨すべきだ。イデオロギー先行の歴史認識がはびこっている。守りの意識の程度で歴史検証の機会を増やすくらいがちょうどいい。

こうした時期にこそ、1907年ハーグ密使事件を思い出して、20世紀初頭の国際政治の厳しい現実を学ぶくらいの機会を、もう少し日本人も持つようにしよう、ということだ。

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