韓国・文在寅政権「日本は放射能汚染されている」プロパガンダのウソ

それでも、冷静かつ毅然とした対応を
林 智裕 プロフィール

福島第一「汚染水」の現状は?

韓国政府や韓国の世論が、これほどまでに外交問題化させようとしている福島の「汚染水」の現状は、実際にはどうなっているのでしょうか。

最初に、混同・誤解されやすい用語や項目について整理しておきましょう。

 

現在、東電福島第一原発構内のタンクに貯蔵されているのは、ほとんどの放射性物質を段階的に除去した「処理水」であり、何の処理もしていない「汚染水」とは異なるものです。処理水中にも放射性物質は残っていますが、未処理の汚染水と比べ大幅に放射線量が低下しています。

また、処理水にも2013年頃までに貯蔵された「放射性セシウムのみを除去された処理水」と、それ以降に導入されたALPS(多核種除去設備・Advanced Liquid Processing System)によって、トリチウム以外の62種類に及ぶ放射性物質の大部分を除去された「ALPS処理水」のふたつがあります。

2013年にALPSが本格稼働したことで、処理水及び貯蔵タンク中の放射性物質は大幅に減少しました。実際に、処理水が保管されている福島第一原子力発電所では、敷地境界線(原発敷地との境界)の放射線量が2013年度末の9.76mSv/年から、2017年度末には0.90mSv/年まで劇的に低下しています(8月31日、単位の誤記を修正しました)。

福島第一原発敷地境界線の放射線量推移(資源エネルギー庁資料より)

「汚染水」「セシウムのみを除去した初期の処理水」「ALPS処理水」では含まれている放射性物質の量がそれぞれ全く異なり、それに伴って当然リスクの大きさも違いますから、これらは混同されるべきではありません。

また、この処理水に対する基準についても、用途が異なる基準値が混同されやすいので注意が必要です。

処理水に対して設定されている基準値は、「タンクに貯蔵される際の基準」と、それよりも厳格に設定されている「環境中で処分する際の基準」とで異なります。

ALPSには、汚染水を環境中に処分できる水準にまで浄化処理する能力がありますが、そのためには多くの時間を要します。ですから、現在は汚染水の迅速な処理を優先し、タンクに一時保管する基準での処理に留めています(事故直後、まずは敷地境界線量1mSv/年原発の敷地から敷地境界に追加的に放出される線量[自然界にもともとあった線量を除いて、原発施設から新たに放出されて増えたぶんの線量]をクリアすることが初期目標とされたため、一時保管の基準は他設備の影響と合算してこれをクリアすることを前提に設定されました。その成果が上のグラフです)(※8月31日、[]内の注釈を追記)。

それに対し、一部報道には「処理水を環境中に放出するというが、貯められている処理水タンクの8割が基準値を超えていた!」などと煽るセンセーショナルなものが見られます。これは混同の典型的な例です。

当然ながら、「タンクに貯蔵されている処理水を、そのまま環境中に放出して処分する」わけではありません。セシウム以外の放射性物質が残されている初期処理水はもちろん、タンク貯蔵基準を満たしているALPS処理水であっても、環境中で処分する際には、より厳格な基準値以下となるよう追加処理をしてからの放出になります。

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