転倒への恐怖心でいっぱいになる

5月22日。

私はふたたび、義足と義手を身につけた。

「では、今日も平行棒から」

内田氏はストレッチを終えた私の両脇を抱え、平行棒の間に運んでくれた。足の位置を定めると、2本の義手を広げて平行棒の上に乗せる。

「手、離しますね」

内田氏がそう言って、私の身体から手を離した瞬間だった。

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「あ、あっ!」
にわかに下半身のバランスを崩した私は、なす術もなく平行棒にもたれかかった。いままでの練習ではけっして起こらなかったことだ。内田氏は咄嗟に私の身体を支えてくれたが、頭の中は転倒への恐怖心でいっぱいになった。

撮影/森清

「義手がついた分、いつもとはバランスが変わって、重心がうまくとれなくなってしまいましたね」

内田氏はそう分析した。
両足に意識を集中させて重心を置く場所を探ったが、うまくいかない。たった400グラムの重さが両手に加わっただけで、こんなことになるなんて思ってもみなかった。