神戸市の「タワマン建設規制」、こんな「副作用」が待ち受けている

それは「衰退への道」かもしれない

このところ新築マンションの販売が低迷しているが、タワーマンションの人気は依然として根強く、今後も多くの物件が建設予定となっている。そのような中、神戸市が市の中心部におけるタワマン建設の規制に乗り出した。郊外ニュータウンの過疎化を防ぐことが目的だが、タワマン規制はバランスの取れた地域発展に寄与するのだろうか。

市の中心部ではタワマンが建設できない

神戸市は2019年6月、タワマン建設の抑制を目的とした条例改正案を市議会に提出。市議会は7月に改正案を可決し、2020年7月から規制がスタートすることになった。市の中心部であるJR三ノ宮駅周辺については、原則として住宅建設を禁止とし、山陽新幹線の新神戸駅からJR神戸駅までの区域については、住宅の容積率を400%以内に制限する。

地価が高いエリアで容積率が400%以下に制限されると、住居のみでは利益を出せないので、事実上、市の中心部ではタワマンが建設できなくなる。

神戸市〔PHOTO〕iStock

神戸市が中心部からのタワマン排除を決めた理由は、郊外ニュータウンの過疎化を防ぐためである。

同市の人口は2011年の154万人をピークにジワジワと減少が進んでおり、現在は約152万人となっている。だが神戸市中心部の人口は年々増加しており、周辺から中心部への人口集約化が著しい。このままでは、郊外ニュータウンの高齢化と過疎化がさらに進んでしまうことから、中心部のタワマン建設を抑制し、子育て世代のニュータウンへの移住を促すという。

 

これに加えて、市の中心部に住宅があると、商業施設やオフィスビルの集約化が困難になるとの意見があり、これもタワマン規制を後押ししたと考えられる。

都市の中心部に大量のタワマンが建設されると、生活インフラの整備が間に合わないといった問題が発生するため、規制を加えることには一定の合理性があるが、一方で、市場メカニズムを無視した規制であり、意味がないという批判の声もある。

確かに神戸市の場合、中心部のタワマンを規制することが、本当に郊外ニュータウンへの移住を促すのか、あるいはオフィスビルや商業施設の建設を促進させるのか微妙な部分がある。

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