神戸市の「タワマン建設規制」、こんな「副作用」が待ち受けている

それは「衰退への道」かもしれない
加谷 珪一 プロフィール

このままでは大阪のベットタウンになる?

人口減少の動きは、全国一律に人が減るのではなく、地域拠点への人口集約が同時並行で進むという特徴がある。例えば神戸市の場合、神戸市の郊外から中心部に人が移動すると同時に、神戸から大阪への集約も進む。さらに日本全体で見れば、関西圏から首都圏へのシフトも同時並行で進んでいる。

つまり、神戸市の中心部にタワマンがたくさん建設されているということは、神戸市中心部が大阪のベッドタウンになっていることを意味しており、神戸単体として街が発展するという従来の枠組みが変化している可能性が高い。

つまり、市の中心部における商業地域としての機能がそもそも低下しているということであり、ここで単純にタワマンの建設を規制しても、同じ場所に大量のオフィスビルや商業施設が集約できるとは限らない。同様に、郊外のニュータウンに子育て世代が戻っていく保証もない。神戸市が大坂のベッドタウン化しているのであれば、その流れには無理に逆らわず、商業施設は大阪に任せてしまい、神戸はより多くの住民を集めた方がよいとの考え方もあるだろう。

この規制の是非については、相当な議論があったようだが、最終的にはオフィス誘致による就業人口の増加を優先させた形だ。

人口の減少と、利便性の高い場所への人口集約は各地域に共通する現象なので、今後、タワマン規制が政策的課題となる自治体は多そうである。

では、今後、中心部におけるタワマン建設は抑制した方がよいのだろうか。

この話は地域によって条件が異なるので、一概には言えないが、筆者は、過度なタワマン規制は実施しない方がよいと考えている。

 

逆に郊外のタワマン建設を加速させる可能性

最大の理由はやはり市場メカニズムである。人口減少とそれに伴う人口の集約化は、半ば自然の摂理であり、人為的にこの動きを食い止めるのは容易ではない。自然の流れに逆行した政策を遂行するためには、強いリーダーシップと住民のしっかりとしたコンセンサス、そして十分な財源が必要である。

リーダーシップとコンセンサスは住民の意思で何とかなるにしても、現時点における各自治体の財政状況では、人口の流れを逆転させるほどの開発や支援を継続するのは困難である。

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