2019.09.14
# 企業・経営

夢のリニア中央新幹線、乗ってみてわかった「実現への不安」

まだ道のりは長そうだ
川辺 謙一 プロフィール

航空機のような衝撃が…

その点、今回乗るL0系は、試作車の実績を踏まえて改良されたはずである。そう思って乗ったら、たしかに乗り心地は改善されていたが、それでも営業運転に耐えうるものだとは思えなかった。

L0系の車体も、時速500kmでの浮上走行で大きく揺れた。車体の振動を把握するため、壁に手を押し当てながら乗ったところ、走行中の新幹線車両や、飛行中の航空機の壁よりも大きな振動を感じた。

 

その振動に、筆者は不安を覚えた。高速道路で、足回りの状態が悪い自動車を運転するときのように、小刻みな振動に、フワフワする不快な振動が伴っていたからだ。これでは、15年前の試作車と同様に、通路で立って歩くのは難しいだろう。

さらに、車内の気圧が急激に下がったためか、耳がツンとなり、音が聞こえにくくなった。車体には従来の新幹線車両と同様に気密構造が採用されているはずなのだが、「耳ツン」は起きた。

車両が減速して車輪が再び接地すると、航空機が着陸したときのような衝撃があり、座席の背もたれが大きく揺れ、車体全体が上下・左右だけでなく、前後にも大きく振動した。

車内のモニター画面には前方の様子と速度などが表示される(L0系、筆者撮影)

このような振動や衝撃は、将来の営業運転で問題になるはずだ。乗車体験では、走行中はスタッフの指示に従い、参加者全員が大人しく席に座っているが、実際の営業運転では、乗車体験よりも長時間乗る乗客が多数いるし、ずっと席に座っているとは限らないからだ。

たとえば、もし車輪が接地する瞬間に通路やデッキに立っている人がいたり、トイレに人がいたら、不安定な姿勢のまま大きな衝撃を受け、転倒する恐れがある。当然、車椅子に乗る人への影響もあるだろう。安全を最優先する鉄道としては、致命的ともいえる欠点だ。

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