2019.09.23
# がん

「がんは放置したら治る?」そう信じる人に現役医師が言いたいこと

治るものも、治らなくなる
いまや日本人の2人に1人がかかると言われる「がん」。もし自分や、自分の家族ががんになったら……。そんなとき心強い味方になってくれるのが、著書『がん外科医の本音』で知られる中山祐次郎医師だ。放置療法、水、ビタミン、食事、気などの「トンデモ療法」。こうした非科学的な治療法を、現場の医師はどう見ているのだろうか? 中山氏が胸の内を語った。

「効果がない」とは言い切れないが…

こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。大腸癌手術や抗がん剤治療を中心とした外科の専門医をやっております。

さて、第三回は「がんを放置するという方法」について、実際にがん治療に日々携わっている医者の立場から本音で解説したいと思います。

不幸にしてがんと診断されてしまった方に、どんな治療が最善なのか。これはもう何十年も外科、内科、放射線科といったいろいろな専門の医師たちが議論をしてきました。

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そして、何万人という患者さんたちが「Aという治療法 vs. Bという治療法」にくじ引きで振り分けられて治療を受け、「その結果、Aのほうが良かった」というふうにして、がんの治療法は決まっているのです(ランダム化比較試験という研究方法です)。

このように、一枚一枚薄い紙を積み上げるようにして、実に多数の患者さんのいわば犠牲のもとに、少しずつがん患者さんの治療は向上してきたのです。「向上」とは、生存する長さが延びるばかりではなく、生活の質をなるべく保ったまま治療を受ける、ということも含まれています。

 

さらに最近、病院では、科にとらわれずいろいろな科の医者が集まって話し合う「キャンサーボード」という会議をするところが増えています。これにより、一人の患者さんの治療法を「手術で取るのがいいか」「いや、放射線がいい」「いや、抗がん剤で小さくしてから手術はどうか」などと議論し、最善の策を考えるのです。このようにして、患者さんの治療法というものは決まっています。

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