お客さんのクレームに、まずは「限定付き謝罪」で対応すべきワケ
事実確認より先にすべきこと謝罪には2つの方法がある
謝罪には大きく分けて2つの方法があります。1つ目は、「限定付き謝罪」です。この限定付き謝罪のポイントは、その名のとおり、限定的・部分的に謝るということです。この方法が、クレーム対応で使うお詫びのやり方です。

2つ目の謝罪の方法は、限定付き謝罪の反対語(対義語)にあたる「全面謝罪」です。
「すべて私どものミスでした。申し訳ございません」、これが全面謝罪です。全面謝罪はお客様からのクレームを聴いて現場の状況を確認して、自分たちのほうにすべて非があるとわかった段階で謝る方法です。例えば、企業が不祥事を起こしたときに行なう記者会見は、全面謝罪になります。
クレーム対応の初期段階では、お客様からの話をすべて聴いてみないと一体、誰が悪いのかはわかりません。自分たちが悪いと思って話を聴いていても、お客様の思い込みや勘違いだったというケースもあります。
ですから、最初から全面的に謝る必要はありません。まだクレームの原因が把握できていない状況では、部分的に謝ったほうが良いのです。
では、限定付き謝罪をするとして、どこに限定して、どの部分に対して謝ればよいのか?
ここで、まだ状況を確認していなくてもわかっていることが1つあります。それは、自分たちは良かれと思って、お客様に対してきちんと仕事をしていても、目の前で怒っているお客様は自分たちの仕事ぶりに満足していない、嫌な気持ちになっていることです。
そのお客様の怒りの気持ちに対して謝る手法が、限定付き謝罪であると理解してもらって結構です。
まだ事実は把握できていなくても、お客様の怒りの気持ちに対してのみ謝るのです。
この場合の謝罪は、お客様の感情を第一に考えた行為です。お客様との心のつながりを最優先に考える、相手の心の痛みを察するということです。お詫びすることでお客様の気持ちを癒し、そして安心してもらうのです。
全面的に謝罪するのではなく、お客様の残念な気持ちやガッカリされて悲しんでいるという部分に寄り添う、これが限定付き謝罪です。
遊園地の券売機でお釣りが出てこなかったという例で言えば、「せっかくご利用いただいておりますのに、ご不便をおかけしてしまい、申し訳ございません」という言葉を投げかけるとよいと思います。