カフェインはよく筋肉のエネルギー効率を高めるといわれていますが、これは研究により完全に否定されています。カフェインは筋肉に作用するのではなく「脳」に作用するのです。
運動によって疲労を感じるとパフォーマンスが低下します。これは脳にある痛みや疲労などの信号を受け取るアデノシン受容体が脳の神経細胞に働きがけ、細胞の活動を抑制するからです。カフェインはこのアデノシン受容体に作用して、その感受性を低下させる作用があります。そのため、筋疲労を感じる時間が遅くなり、運動のパフォーマンスを向上させることができるのです。
錠剤やカプセルよりもコーヒーが最適なワケ
では、同じ神経活動が関与する「筋力」にもカフェインは作用するのでしょうか?
2015年、ドイツ・ロストック大学のベーレンスらは、カフェインが最大筋力を高めることを明らかにしました。ロストック大学に集められた被験者は、カフェインを摂取するグループと摂取しないグループに分けられ、いくつかの筋収縮パターンにおける最大筋力が計測されました。その結果、カフェインを摂取することによって全ての筋収縮パターンにおける最大筋力が向上したのです。

拡大画像表示
ベーレンスらの報告は他の研究者によっても支持されており、現在ではカフェインが最大筋力を高めるエビデンスとされています。そして、カフェインが筋力を増強させることが明らかになると、今度はカフェインを含んだコーヒーによっても筋力は増強され、筋トレの効果が高まるのではないか、と考える研究者が現れました。