手術と入院は「した後」こそが恐ろしい…病院での痛ましすぎる実例

医者の勧めをそのまま聞きますか?
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もしかすると、その医師は手術で治す以外の選択肢を知らないのかもしれない。新百合ヶ丘総合病院・放射線治療科の宮崎紳一郎・サイバーナイフ治療部部長が説明する。

「医者は結局、自分が勉強してきた、あるいはこれまで自分が行ってきた治療法が一番いいと思っている。手術をしないで治す方法があることは知っていても、自分は手術で治すのが一番だと思っていると、なんとしてでも手術をしようとする。

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ほかの選択肢は勧められない医師、あるいはほかの医師から見て『やめておいたほうがいい』と思う手術でも、自分ならばできると思っている医師もいるのです。

患者さんの立場に立って、公平な視点で治の良し悪しを考える医師ばかりではない。自分の身を守るためにも、そのことは肝に銘じておいたほうがいいでしょう」

金銭的な利益、病院の都合、そして医者の過信。そこには、手術はあくまで患者のためという根本的な考えが抜け落ちている。

心臓の手術は「した後」のほうが恐ろしい

日本では、1年間で6万件以上の心臓の手術が行われている。数が多いだけに、術後の後遺症に悩む人も多い。神奈川県の病院で働く心臓外科医が明かす。

 

「心臓手術のレベルは病院によって雲泥の差があります。『無事に手術が終わりました』と家族に伝えても、その後、患者本人の体調が良くならない、心臓の機能が回復せずに補助人工心臓をつけなければならなくなった、あるいは最悪のケースとして、手術後、意識が戻らなくなったというケースもあるのです。

また、80歳を超えた患者が心臓手術を受けると、術後に急速に認知症が進行するということもあります」

心臓手術後の後遺症・合併症のリスクについて、ニューハート・ワタナベ国際病院の渡邊剛理事長が、次のように説明する。

「心臓手術の最中は、人工心肺を回して、全身の臓器に血液を送ります。手術にかかる時間が長いほど、この人工心肺を使う時間も長くなり、合併症が起こるリスクが高まります。

脳梗塞や脳出血を起こすこともあるし、人工的な血液循環を長く行う結果、腎臓や肝臓もダメージを受けることになり、術後、腎不全や肝不全になるというケースもあるのです」

渡邉医師によると、一般に心臓手術の術後30日以内の死亡率は3%程度あるという。心臓の病は、手術を「した後」が怖いのだ。

とはいえ、心臓の病が悪化し、手術しか助かる方法がない場合には、しないわけにもいかない。「命を守る」ために、やるべきことはなにか。渡邉医師が続ける。

「やはり、手術を受ける前に『この病院で手術を受けていいのか』をしっかりと調べる必要があります。ひとつの目安としては、その病院のホームページで、手術の件数を開示しているかどうか。

数字をまったく出していない病院は論外にしても、3年分とか、開業以来の数とかをまとめて掲載しているより、昨年1年分などの細かいデータを出しているところが信頼できると思います。思い切って直接医師に、その病院で心臓手術を受けた際の死亡率について尋ねてみるのも良いでしょう」

病院選び・医者選びはまさに「命がけ」でやったほうがいい。

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