手術と入院は「した後」こそが恐ろしい…病院での痛ましすぎる実例

医者の勧めをそのまま聞きますか?
週刊現代 プロフィール

恐ろしい「院内感染」

「院内感染をゼロにすることは不可能です。無菌室に入っている患者さんでさえ、トイレを使うときに感染しますから。病院で多くの方が感染症にかかり、亡くなる悲劇は後を絶たないでしょう」(医療法人社団鉄医会理事長の久住英二医師)

病気を治すために入院したはずなのに病原菌に感染し、さらに深刻な病にかかる。どれだけ清潔に保っていても、病院が危ない場所であることは間違いない。

 

実際、院内感染での死亡事故はなくならない。今年2月にも西神戸医療センター(神戸市)で70代の女性患者がレジオネラ菌に感染、肺炎で亡くなっている。

院内での感染経路は多種多様。カテーテルなどの医療器具に加湿器、トイレや水道といった水回り。意外なところでは、お見舞いで持ち込まれた花を生けるための花瓶の水が腐り、菌が大繁殖することすらある。

「ブドウ球菌やアシネトバクターなど病原菌は数ありますが、もっとも厄介なのが多剤耐性緑膿菌。これはあらゆる抗生物質に対して耐性を持つ菌で、有効な薬がないんです。抵抗力の弱まっている患者さんに付着してしまえば、感染を防ぐ手立てはありません」(久住医師)

皮肉なことに、医者や看護師などの医療スタッフが媒介となって病原菌をまき散らすこともある。

「医者が保菌者となって患者に病原菌をうつしてしまうのは、よくあることです。医療スタッフは一日に何人もの患者を見て回りますから。そのぶん、菌の媒介者になりやすいんです」(山形大学の森兼啓太医師)

院内感染が明るみに出れば病院の経営にかかわるため、隠蔽も横行している。東京郊外の総合病院に勤務する、あるベテラン看護師がこう打ち明ける。

「今年6月、胃がんの手術を終え入院していた80代の男性が敗血症で亡くなりました。感染経路はメスを入れた傷口から。問題なのは菌が潜んでいたのが患者さんが使っていたマットレスだったこと。このマットレスが何人もの患者に使い回されたものだったんです。

患者さんの死亡後、病院側は家族に『突発的な肺炎で容体が急変しました。手術後に抵抗力の弱まっている高齢者にはよくあることです』と嘘の報告をし、感染をひた隠しにしていました」

病気を治してくれる病院は、あなたの命を奪う場所でもあるのだ。

『週刊現代』2019年9月14・21日号より

関連記事