Yahoo!のデータサイエンティスト集団は、ヤバい探偵団だった!
ビッグデータ分析は新しい「社会学」だ新社会人の悩みが一目でわかる
〈新社会人の悩み時系列マップ〉なる図表がある。これがヤバい。ひたすらヤバい。

拡大画像表示
これは、社会人になったばかりの人々が、その年の4月にどんな言葉を検索したか(ウェブで、どんなことを調べようとしていたのか)をマトリックスで表した図表だ。
そのマップを眺めて十数秒後、私は思わずつぶやいてしまった。
「これって……新入社員時代のオレとソックリじゃないか……」
〈ネクタイ 結び方〉
〈返信用封筒 書き方〉
〈会話が続かない〉
〈靴 消臭〉
〈眠くならない方法〉
〈一発芸 簡単〉
〈働きたくない〉……
今から25年以上も前、講談社に入社したばかりの私は『週刊現代』という雑誌に配属された。どことなくワケありっぽい先輩たちが怒声を発したり、深夜の記者席でヒソヒソと怪しげな電話をかけたりしている姿を見て、自分はここで何をするんだろう、将来オレもあんな風になるんだろうかなどと考えこんでしまったことを覚えている。
大学卒業まで、アルバイト以外に働いたことがないわけだから、社会人の常識なんて何も知らないのは当たり前なのに、「けっ、オマエはそんなことも知らないのか」と連日のように叱られ、イジられ、職場のルール(のようなもの)を必死になって覚える毎日を送った。
この〈時系列マップ〉を見ていると、自分があの時、どんなことに悩んでいたのかが、苦~い嫌~な思い出とともに蘇ってくるような気がしたのだ。
「25年前の新社会人」も同じ悩みを……
〈時系列マップ〉によれば、多くの新入社員が、たとえば4月3日に〈ネクタイ 結び方〉について検索している。いきなり締める機会が増えたので慌てているのだろう。
以下、4月13日には〈発砲スチロール 捨て方〉を(新生活で買った電化製品のゴミ?)、翌14日には〈電話 マナー〉を(電話ごしに叱られたのかもしれないね、腹立つよね)、そして22日には〈会話が続かない〉をかなりの割合で検索しているようなのである。
この〈会話が続かない〉って気持ち、すごいよくわかる。オレも新人の頃はほんとうに先輩と何を話せばいいのかよくわからなかった(だって、すぐ怒るんだもの)。
会社の中には弁が立つ人、口の悪い人も多かったので何も言い返せず、黙っていると今度は「青木はネクラだ」「面白くないヤツだ」などと追い打ちをかけられる。まぁ、オマエだって若い子たちに同じことをしてるんじゃないのかと聞かれたら、否定する自信はないのだが……。
ゴールデン・ウィークに入る4月29日には〈働きたくない〉と検索する人が急増……。そうなんだよな、GW中にオレも「この仕事、向いてないんじゃないか」って真剣に悩んで親に電話で相談したんだっけな……もはや他人事とは思えない。
5月上旬に悩み、5月下旬にウサを晴らす
さらにこの〈時系列マップ〉を見ていこう。5月上旬になると新入社員はひたすら悩み始めるようだ。
〈食欲が止まらない〉(5月2日)、〈五月病とは〉(同3日)、〈社畜とは〉(4日)、〈会社 辞めたい〉(6日)、〈自己啓発とは〉(12日)、〈元気が出る歌〉(13日)……。
真面目な若者であればあるほど、「こんなはずじゃなかった」とか言って悩む。苦しみに耐え、煩悶しつつ、しかしその壁を乗り越えようとして、職場の内外で新たな喜びや希望を見つけ出そうとするのかもしれない。5月の下旬にはこんな検索ワードが目立つようになる。