2019.10.02
# 企業・経営

三菱UFJと三井住友「ATM共通化」は、現金・ATM消滅への布石か

まもなく「遺物」になる

ATM自体をなくすべき

三菱 UFJと三井住友がATMの共同利用に踏み切ったのは、おそらく今後、ネットバンクやQRコード決済などの普及でATMの利用頻度が急減すると見ているからだ。

クレジット一括払いや自動引落としなら手数料はかからないし、日々の買い物の大半はキャシュレスでできるようになる(個人商店が手数料を負担することになるかもしれない)。

 

となれば、金融機関が独自のATMを維持管理するのはコストに見合わない。代わりに特定の金融機関に拘束されない非ロックイン型ATM(例えばイーネットATM)をずらりと並べたほうが効果的だ。ペイジー、ゼウス、ソニーペイメントサービス、イーコンテクスト、電算システムなど、ベンチャー系決済サービスを使う手もあるだろう。

消費増税をきっかけに、国がキャッシュレス決済の利用拡大を推進しようとしているのは周知の通りだ。一口にキャッシュレスと言っても、銀行口座と紐付いたカード決済(クレジット/デビッド)、現金チャージ型の非接触型電子マネー、QRコード/バーコード決済の○○Payと多種多様で、そこにT、d、Rといった買い物ポイントもからんでくる。 

そうした時代に金融機関が取り組むべきは、ATMの維持管理コストを利用者に転嫁することではなく、デジタル技術を駆使して「ATMをなくす」ことだろう。まだ完全には実現していないが、非接触型電子マネーや○○Payで支払われたデジタル通貨(デジタル化された法定通貨)を、自動的に銀行口座に移動するサービスが実現すれば、流通・決済のコストは大きく圧縮される。 

既存の金融機関が実施しているネット対応のサービスは、リアル通貨を前提とした金融取引の捕捉機能なので、支店、要員、機械装置の維持管理費がかかる。それに対してネイティブなネットバンクはデジタル通貨しか扱わないので、コストがほとんどかからない。

現時点で、そのような改革に意図的に取り組んでいるのは「○○Pay」を提供している企業群だ。デジタル通貨をブロックチェーンでコントロールする設計思想とアジャイル開発。それこそが、本質的なデジタルトランスフォーメーション(DX)のアプローチだ。

関連記事