今の20代を見ると異常?
ヤラハタが恥ずかしいものとされ、脱童貞を推奨されてきたアラフォー世代。彼ら・彼女らから見て、いまの20代の童貞率は衝撃的だ。そして童貞率の数字よりもショックを受けるのが、20代が童貞・処女であることを「フツー」のこととして受け入れている事実だろう。
私がアラフォー世代のBさんとかわした、ちょっとした会話を一例に紹介したい。
Bさん:ねえ、今の若い子って童貞こんなにいるの?
――そうですよ。その辺を歩いているハタチくらいの子は、4割が童貞と処女ですね。
Bさん:えっ? オタクみたいな気持ち悪い人じゃなくても童貞なの?
――20代の童貞は「オタクみたいな気持ち悪い人」がなるもの、という印象があるんですか。
Bさん:まあ、偏見は良くないけど……正直、いい年して童貞なんてよっぽどモテなかったのかなとか、精神的に幼い、アニメとか好きなオタクって印象がありますね。え、本当に普通の子たちが、童貞なんですか? そうですか……。
Bさんほどストレートな表現を使う人は少ないとはいえ、ヒアリングを重ねると決してこの価値観はアラフォーにとって珍しいものではないと分かってきた。アラフォー世代が20代のころは、オタクも童貞も、ネガティブな印象を伴う言葉だったからだ。
若者への「童貞ハラスメント」
その結果、40代が今の20代に接するとどうなるか。「え? 〇〇くん26歳にもなって童貞なの? うっそー! 見えなーい! いい子紹介してあげるから、今度合コンしなよ!」と、20代に脱童貞を勧めてしまうのだ。
ところが、今の20代にとって童貞は自虐ネタとして使えこそはすれ、そこまで恥じるものではない。むしろ、脱童貞にあせってガツガツ女性を口説く方がダサいと言われる世代だ。だから40代の脱童貞を急かす言動は、ハラスメントとして映る。
実際に「童貞ハラスメント」を受けたというCさんは、こう語る。
Cさん:なんか、バイト先で俺って彼女いたことないんですよね、って話になったんですよ。そしたらパートの先輩がびっくりしちゃって。「イケメンなのにもったいない!」って。もったいないって何だ……? ってこっちもびっくり。イケメンだから女の人とやった方がいいってこと? 普通に何を言っているんだろう、って感じでしたね。イラっとまではしませんけど、こう何か、モヤモヤというか。