ある日、行きつけのカフェで自身と同じライターと名乗る女性・Sさんと出会った西谷格さん。どこか違和感を感じたものの、何気なく連絡先を交換したところ、彼女から連日連夜一方的な一人語りのLINEが送られてくるように。
ここで初めてSさんが「ストーカー」であることを理解した西谷さんは、拒絶の意思を示したものの事態は一向に変化せず。合計3万字にもおよぶ怒涛のLINE攻撃に、精神崩壊寸前まで追いやられた西谷さんは、すべてを終わらせるために意を決して彼女との全面対決に臨む……。
「やられたらやり返す」
警察に相談してから数日後、“明確な拒否”と伝わる文面をSさんに送ることにした。が、いざ書き始めてみると、これがなかなか難しい。日本語の特性だと思うのだが、「もう連絡して来ないでください」「迷惑しています。本当にやめてください」などと書いてみても、なんだか相手に頭を下げて“懇願”や“お願い”をしているように聞こえるのだ。こちらはお願いをする側ではなく、やめろと命令する側なのだ。毅然とした感じを出したい。
色々練り直した挙句、次の文面を送ることにした。
「(Sさんのフルネーム)殿
私はあなたと今後一切関わりたくありません。
手段の如何を問わず、今後一切私に関わるな。
LINEで私にメッセージを送るのをやめろ。連絡を寄こすな。
私のTwitterやFacebook等を見るな。
私がこれまで拒否の意思を伝えているにも関わらず、自己中心的な内容のLINEメッセージを連続して何度も送信され、本当に迷惑だ。やめろ。
今後一切私に近づくな。姿を見せるな。失せろ。
私はあなたからの行為および言動を、すべて拒絶する。以上」
読んでみると、いささか怖い。が、怖いぐらいで良いのだ。これだけ書けば、さすがにもう関わって来ないだろう。そして、これなら誰がどう見ても、拒否していることが分かる。つまり、何かあれば警察も動ける。