コレステロールは下げるな
また、異常値と判定された数値を改善しようと努力すること自体が、かえって老化を進めてしまうこともあるから問題です。

コレステロール値などが典型ですが、コレステロールを下げるような食事制限は、身体的にも脳機能的にも老化を進めてしまいます。コレステロール値を低下させることで、免疫力は下がりますし、うつ病のリスクも上がります。
男性ホルモンの生成が減って意欲が低下し、シナプス機能が低下することも報告されています。つまり、健康になるというよりは、「元気のない年寄り」になってしまうのです。
これは、コレステロール値を下げて動脈硬化を防ぐというアメリカの健康論を、日本の医学界がそのまま信奉している弊害でもあります。アメリカでは死因のトップは心疾患です。がんの1.7倍、心筋梗塞で亡くなっていますので、心筋梗塞の予防が、すなわち長寿のための健康対策となりますのでそのような施策をとっているのです。
しかし、日本の疾病構造はまったく違います。日本ではがんで死ぬ人が心筋梗塞の10倍いて、心筋梗塞で死ぬ人の数はOECD諸国のなかでいちばん少ないのです。
このように疾病構造や食生活がまったく異なっているのに、コレステロールが悪玉であるというアメリカの健康論が、日本では信じられています。
本来、がんで亡くなる人がいちばん多いのであれば、コレステロールなど制限せず、免疫活性を上げることを考えたほうが日本人の長寿には寄与するはずなのです。
それなのに日本の健康診断は、いまだにアメリカの理論、海外の理論を盲目的に信じて行われているのです。日本の健康診断は受ける意味がないどころか、場合によっては有害なことさえあると私は考えています。