高齢者に健康診断は必要ない
現在、80代、90代でお元気な女性に聞いてみても、生まれてこのかた健康診断を受けたことがないという人もいるはずです。健康診断を受ければ長生きできるなどというのは、思い込みにすぎないのです。

むしろ、高齢になってからの生活の質を維持するためには、健康診断など受けないほうがいいと私は思います。
高齢になってくると、健康診断でがんがみつかることがあるものです。100年時代ともなれば、誰もががんになることが容易に想像できます。
私も浴風会という病院で亡くなった方の解剖結果の報告を年に100例くらい聞き続けてきたのですが、85歳を過ぎて体内にまったくがんがない人など、ほとんどいないのです。歳を取ったら、誰もが「がんを飼いながら生きている」というのが現実です。
これは私の個人的な見解ですが、私は70歳後半、80歳を過ぎたら、もうがんは切る必要はないと考えています。それよりも、手術によって体力が衰えることのほうが、はるかに悲惨です。
特に消化器系のがんだと、手術が成功したとしても栄養障害をともないますので、その後、生活の質を落とし、これまで元気だったものが、ガクッと弱った高齢者になってしまうリスクがあります。
高齢になったら、健康診断など受けない。そのほうがむしろ老いを元気に生きることができると、私は考えます。