「長く緩慢な死」はこんなにつらい…今「看取り士」が求められるワケ

「多死社会」での、新しい仕事
藤 和彦 プロフィール

看取り士になるには看取り士会が実施する3段階の養成講座に参加し、看取りにおける礼儀作法や自宅で旅立つためのマニュアルなどを学ばなければなりません。

現在700人以上の看取り士が誕生しています。その大半が看護師や介護士の資格を持つ経験の豊かな人たちですが、映画の上映以降、これまで少なかった高齢の男性から受講希望が増加しているようです。

 

「望ましい死」

そもそも看取り士を活用するメリットとは何でしょうか。

柴田氏は「グリーフケアの必要がなくなる」と指摘します。グリーフケアとは、旅立つ人を見送る家族・親族が、死別による喪失から立ち直るのを支援することです。死別による深い悲しみからの回復にはしばしば長い時間がかかると言われていますが、看取り士の支援を受けるとなぜグリーフケアの必要がなくなるのでしょうか。

その理由は、逝く人を抱きしめることでその体のぬくもりを感じ、「いのちのバトン」を受け取る体験をした家族は、言葉にできないほどの大きな喜びや感動が得られるからです。

柴田氏は看取りの経験を通じて「望ましい死(幸福死)」という概念を唱えています。

〔PHOTO〕iStock

筆者が注目するのは看取り士の報酬が1時間当たり8000円と高額なことです。

看取り士のサービスは医療保険の適用はないものの、生命保険のリビング・ニーズ特約が利用できます。リビング・ニーズ特約とは、原因を問わず被保険者が余命半年以内であると判断された場合、将来受け取る保険金額の範囲内(3000万円が上限)でお金を受け取れる特約のことですが、ほとんどの保険にこの特約が付いています。

日本では高齢者に金融資産が集中していますが、従来の発想ではシニア向けの商品・サービス開発を続けるだけでは高齢者の財布の紐が緩むとは思えません。

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