9月下旬、内部告発が民主党やメディアによって明らかにされ、全米に衝撃が走ると、トランプ大統領の対応は素早かった。民主党が「この問題を受けて、大統領弾劾の手続きに入ることを本格的に検討する」と発表すると、トランプはすぐに、ゼレンスキー大統領との電話会談の記録を公開したのである。

先のロシア疑惑についてなかなか事実関係を公にしなかったのとは対照的で、かなり焦って慌てているがゆえの反応のように思われた。トランプにとってきわめて危険な案件だけに、先に内容を公開して、後で世論から受けるダメージを少しでも小さくしたかったのかもしれない。
あるいは、この記録を読んだ人には自分の言動に問題がないことがわかってもらえるはずだ、という大きな勘違いをしていた可能性も否定できない。
ちなみにバイデンの息子はウクライナの天然ガス会社の取締役を務めていたが、今年になって辞任している。
米国は君の国によくしている
ホワイトハウスが公表した両大統領の電話会談の記録は、冒頭にこんな言葉が冠されている。
「この文書の公開は大統領の指示による 2019年9月24日」
その下には「電話会談のメモランダム」「ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談」といったタイトルなどが書かれている。
日時は2019年7月25日の午前9時3分から9時33分。世の中が慌ただしく動き始めて間もない頃合いの、決して短くない30分という時間、トランプはウクライナの大統領と語り合ったのだった。