2019.11.10
# 週刊現代 # エンタメ # 芸能人

六本木が「日本で一番ヤバい場所」だった時代を知ってるかい?

あらゆるスターが集まった街
週刊現代 プロフィール

大人のマナーを教えてもらった

スターが集まる街には、新しい恋も芽生えた。冒頭の小川知子さんは、六本木の街で生涯忘れられない恋人と出会った。

福澤諭吉の曽孫で、レーサー兼ファッションモデルだった福澤幸雄(享年25)がその人だ。

「彼と出会ったのは偶然でした。当時、私は毎日のように大原麗子ちゃんと六本木に繰り出して遊んでいました。キャンティにもよく出入りしていて、あの頃は3階にVIPルームがあり、仕事終わりによく立ち寄っていたんです。福澤さんとはそこで出会いました。

 

彼とVIPルームで会話をするようになって、すぐに意気投合。交際に発展するまで時間はかかりませんでした。後から聞いたら、大原麗子ちゃんはすでに福澤さんと知り合いで、私に紹介しようとしていたみたい。

私はアイドル歌手として活動していましたが、周囲の目はあまり気にしていなかった。福澤さんとは人目もはばからず日比谷で映画を見てから六本木に戻って、ご飯を食べていました。

彼が静岡のテストコースで事故死したときは悲しくて……。事故直後、『夜のヒットスタジオ』の収録で『初恋のひと』を歌いながら泣き崩れてしまったこともあります。立ち直るのに時間もかかりましたが、私を大事にしてくれたと本当に感謝しています」

当時の六本木は、まさに人間交差点。世代を越えたあらゆるジャンルの人たちが集い、交流を深めていた。特に若者にとっては、「大人」とかかわり世界を広げる場所だった。漫画家の黒鉄ヒロシ氏(74歳)が回顧する。

「六本木で飲み歩くことで、大人のマナーを教えてもらったんです。飲みの場に先輩がいたら、必ずおごってくれる。『いつも悪いから、今日は僕が出します』と言っても、『そのカネは今度、後輩に使ってやれ』と。そういう酒場でのスマートな立ち居振る舞いを学びました。

特に用事がなくても、フラッと六本木に行けば話し合える誰かがいて、仕事の情報交換やバカ話ができた。色々なバックグラウンドの人たちが即興的に集まって、予期しない出会いが生まれる。そんなところも、六本木の魅力でした」

関連記事