2019.11.06
# 中国

米国は変わった、とうとう高官が共産主義中国を「寄生虫」呼ばわり

NBA、ナイキが米国で叩かれる理由
大原 浩 プロフィール

米国の世論は極端から極端に振れることがある

別に米国に限ったことではないのだが、世論はしばしば極端から極端に振れる。

独裁主義国家であれば、国民の世論がどうであろうと、力で押さえつけるであろうし、共産主義中国がその典型だ。

しかし、米国は民主主義国家であり、世論が政治・社会に与える影響は極めて大きい。

 

そこで思い出されるのが、第2次世界大戦をはさんだ、ナチス・ドイツへの米国の態度の変化である。

今でこそ、ユダヤ人が支配するハリウッドで反ナチ映画がうんざりするほど量産され、「米国にとってナチス・ドイツは『巨悪』とされている」が、少なくともナチス・ドイツがポーランドに侵攻するまでは、米国でも親ナチス派が一般的で多くの実業家がナチスと取引をしていた。

大空の英雄として有名な、大西洋を初めて単独飛行したチャールズ・リンドバーグもナチスを賛美していた。

さらには、IBMの実質創業者ワトソン氏(彼の名前がAI〈エキスパートシステム〉につけられている)も、IBMの製品がナチスに貢献したことなどから、叙勲された(後に返還している)。

別に彼らが特殊であったわけではない。英国も第2次世界大戦が始まる前には、ナチスに融和的なネヴィル・チェンバレンが首相を務めており、そのおかげもあってヒットラーが勢力を拡大した。

第2次世界大戦が終結し米軍が踏み込むまで、アウシュビッツの状況は、世界には知られていなかったので、米国でもナチスの支持者はそれなりにいた。

現在、日本企業ではESGが声高に叫ばれ、まったくと言っていいほど根拠がない「人類の排出する二酸化炭素による地球温暖化対策」に、信じられないほど巨額のムダ金が使われているのは、10月9日の記事「『地球温暖化騒動』の『不都合な真実』に目を向けよう」や、10月22日の記事「日本人が知らない『温暖化対策』巨額すぎる無駄なコスト」で述べたとおりである。

それに対して、香港、チベット、ウイグルなどで「人権侵害」を繰り返す中国共産党の息のかかった企業とは平気で取引をしている。

ESGの観点から言えば、「人権侵害国家」の企業と取引をしてそれらの国家を結果的にサポートすることは「極めて不適当な行為」であり、行うべきではない。

もし、何らかの形で、天井の無いアウシュビッツと呼ばれるウイグルやチベットの惨状が赤裸々に暴かれた場合、共産主義中国と取引をしている日本企業は極めて難しい立場に立たされるはずだ。

ましてや、ウイグルの強制収容所で日本のコンピュータやIT製品・技術などが使われていた場合、致命的な打撃を受けるであろう。

10月23日には、マイク・ペンス副大統領が「NBAやナイキが自社の利益を追求するために、中国政府の要求に屈服した」と激しく非難している。

特にNBAに対しては「中国共産党の側に付き、言論の自由を押しとどめ、中国政府直属の支局のように振る舞っている」とまで言っている。

今や中国に媚びているなどと思われたら、巨大なリスクなのだ。

米国の世論、さらには政府が明らかに変わりつつある。日本企業はその事実にもっと敏感になるべきである。

SPONSORED