『沈黙の艦隊』『ジパング』『太陽の黙示録』……数々のヒット作で知られる漫画家、かわぐちかいじ氏(71歳)。モーニングで『サガラ〜Sの同素体〜』 、ビッグコミックで『空母いぶき』が連載中だったが、今年の5月から「体調不良」を理由に休載していた。
このたび、約半年の休載期間を経て、11月7日発売のモーニング(49号)で『サガラ』の連載が再開される。また、ビッグコミック誌での『空母いぶき』の再開も発表された。
1968年に21歳で漫画家デビューして以来、70年代からヒットを連発し、休むことなく作品を世に出し続けてきた人気漫画家。はじめての長期休載の裏側には、知られざる闘病生活があった。
(取材・構成/伊藤達也、撮影/西崎進也)
喉にがんが見つかった
──連載再開おめでとうございます。じつは、たいへんな病気をされていたそうですね。
「食道がんでした。ありがたいことに現在は寛解して、いたって元気ですよ。
体の異変に気がついたのは、今年の1月頃です。ここ5~6年は毎日、健康補助のサプリを飲んでいたのですが、どうも喉にひっかかるようになったんです。はじめは、私は風邪で扁桃腺が腫れやすい体質で、疲れがたまったときなんかも喉に不調がでるから、1週間もすればおさまるだろう、と軽くみていたんですよ。それが、なかなか治らない。それで、近所の耳鼻咽喉科で診てもらった。
しかし、カメラで撮っても医師からは『喉はきれいなもんです、問題ありません』としか言われなかった。『いや、そんなはずはない。実際に喉に違和感があるんだから』と紹介状を書いてもらって、大きな病院で診てもらうことにしたんです。いわゆるセカンドオピニオンですね。そしたら、喉にがんがあるとわかった。それが3月頃の話です」
