2019.11.14
# 格差・貧困

ホームレスの人が一番怖いものが「私たち」だって知っていますか?

「恐れと不安」が連鎖する社会
飯島 裕子 プロフィール

釜ヶ崎で目にしたもの

台風上陸から1週間後、釜ヶ崎へ行く機会があった。

大阪・釜ヶ崎の風景〔PHOTO〕著者撮影
 

日本最大の野宿者の街であり、路上死や孤独死もある、最もいのちが軽んじられている場所だと思っていた。しかしこの街で夜回りや炊き出しを行い、野宿の人たちを支援してきた人々は口を揃えてこう言うのだ。

「ここほど人間が中心の場所はない」と。

釜ヶ崎では炊き出しという形で同じ釜の飯を分け合う。身寄りもなく一人で亡くなる人も少なくないのだが、そんな時は皆で見送りをするのだという。

釜ヶ崎で長年、野宿者とともに生きてきたふるさとの家の本田哲郎氏(77)はいのちが軽んじられる風潮について次のように話した。

「職場など大人社会で頻発するイジメのニュースを聞いていても、いのち、すなわち人間の存在そのものが軽んじられていると感じます。いのちを大切にすることは医療の力で生命維持装置に繋ぐことではない。その人の存在をありのまま受け入れることにほかなりません」

本田氏〔PHOTO〕著者撮影

今回のホームレス排除によって露呈した日本社会の現実。いのちが軽んじられている状況としっかり向き合っていかなければ根本的に解決することはないと感じている。

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