受身ではなく積極的に動くことで
動物との避難はスムーズになる

今回の災害で、ペットとの避難の難しさ、厳しさをリアルに感じた人は多いだろう。でも、「どうせ相手にしてもらえないから」と諦めていたのでは、いつまでたっても状況は変わらない

避難所の運営は基本的に自治体の職員が駆けつけて行う。しかし、今回のように被害が大きいほど、誰が避難所を開けられるか分からない状況になる。そんな状況に対応するために、『ファーストミッションボックス』が注目されている。危機管理教育研究所 国崎信江氏と長野県飯田市が考案したアイディアなのだが、最初(First)に集まった人達が、迅速で適確な初動対応が行えるよう、各避難所にファーストミッションボックスを設置する。

ボックスの中には、やるべき事柄を書いたカードと必要な事務用品などを入れておくのだ。このボックスはすでに全国の自治体でも採用されている。この中に、「避難所開設 ペット」と書いたカードを加え、動物避難のために必要なマニュアルなども入れておくのはどうか。例えば、ケージの設置場所の図面、飼い主への注意事項の張り紙、世話の仕方のマニュアルなどを共通認識で持てば、排泄物を片付けない、ゴミを放置する、人の動物を触ろうとして逃がすなど、避難所でよくあるトラブルを軽減することも可能だ。こういったものを事前に設置してほしいと、自治体に嘆願するのもいいかもしれない。

避難所開設自体は、自治体の作業になるが、ペットの避難問題は住民の声が上がらなければ反映はされにくい。先にも述べたように、ペットを連れて避難訓練に行くことや、各自治体にペット避難について問い合わせや意見を伝えるなど、飼い主側も受身ではなく、積極的に声を上げていくことが変化に繋がると私は思っている。弱者だからこそ、日常のマナーやケア、準備はもちろん、声を上げることが、今真剣に求められているのかもしれない。

受身ではなく行動を起こすことで、動物たちの安全も確保できるのだから。photo/友森玲子