公務も減らされて

子どもを望んでいる夫婦が、2年経過しても妊娠しない場合、医学的には「不妊症」と診断されるケースが多い。1995年6月、ご成婚3年目を迎えたご夫妻は、その領域に入られた。陛下35歳、雅子さま31歳。周囲の焦りはつのっていた。

 

「雅子妃に公務は必要ない」という方向性がハッキリと打ち出され、次第に雅子さまの公務のスケジュールが減らされていった。ご成婚当時、元外交官という輝かしいキャリアや現代的な美しさで「新時代の皇太子妃」と人気を誇ったプリンセスは、国民の前に出る機会も減り、すっかり影が薄くなってしまった。

1995年、音大卒業生の演奏会にて、当時の皇后美智子さま、秋篠宮妃紀子さま、常陸宮華子さまとともに出席される皇太子ご夫妻 写真提供/宮内庁

そんな中で、雅子さまはご懐妊に向け、必死の努力を続けていた。妊娠しやすい身体を作るための体重管理や健康管理。野菜中心のヘルシーな食事を心がけ、毎朝の散歩、週末はテニスなど、運動にも気を配った。それでも、懐妊の兆候はいっこうに訪れない。

「嫁して3年子なきは去れ」

昔は、嫁いで3年子どもが生まれない嫁が里に返されることがあったそうだが、雅子さまにも、節目の3年が過ぎようとしていた。