「鳥籠の中のプリンセス」

その頃、子作り優先で公務も海外訪問も抑えられている雅子さまに対し、海外のメディアがこんな批判的な報道をするようになった。

「Princess in a Gilded Cage(金メッキの鳥籠の中の皇太子妃)」(米・ニューズウィーク誌 1996年 6月)
「A royal crisis, Japanese style(日本スタイルの皇室の危機)」(英・インディペンデント紙 1996年3月)」

自立した優秀な女性が、旧弊な皇室に閉じ込められ、個性や能力を封じられている……。

 

そんなイメージを払拭するために、1996年12月、雅子さまの33歳の誕生日会見は、初めて単独で行われることになった。

ロイヤルブルーのスーツにパールのネックレス姿の雅子さまは、緊張しながらも真摯に記者たちの質問に答え、正直に胸中を語った。

1996年12月6日に行われた単独会見 写真提供/宮内庁

「伝統的な皇太子妃の在り方というものと、それから自分らしさというものを、どのように調和なり、バランスのよい接点というものを見出していくかということについては、その時々で苦心もいたしますけれども……(中略)私の中には、伝統的な部分と新しい部分という両方があって、その時々で、どちらの要素をどのように活かしていくかということなのではないかと思っています」

だが、この雅子さまの言葉が、宮内庁の中で物議をかもした。「自分らしさ」や「新しい部分」など考える必要はない。そんなことよりも、「世継ぎの重要性」を第一に考えるべきだ……と。