韓国・文在寅は何がしたかったのか…「GSOMIA騒動」が与える影響

韓国の相対的な役割は低下していく
佐藤 丙午 プロフィール

北東アジアのパワーゲーム

まず、日韓関係から展望しよう。

韓国が日本に対して抱いている不満の背景には、安倍政権の下で進められた韓国に対する「戦略的無視」がある。日本がこの姿勢を維持する限り、日本は韓国に対して「普通の国家」関係を求め続けるだろう。

韓国を無視する背景には、日本にとって韓国の戦略的価値に比べて、関係維持のコストが高いという現実がある。文大統領の言葉を借りるとすれば、韓国が「防波堤」の役割を再確認すれば、再び日本は韓国に価値を感じることになる。

GSOMIAの破棄は、韓国が自らその価値を貶めるものであり、日本の「戦略的無視」を解消する効果は生まない。しかし今回の延長により、とりあえず日本は韓国の価値を再発見することができた。

韓国の存在、さらには米韓同盟の存在が、憲法を含めた日本の政治体制の維持や、より直接的には防衛費の抑制に大きな意味があるのは事実である。日本は現在の状態を継続することに利益がある。

 

河野太郎防衛大臣が指摘するように、韓国の国防費は年率7%で増加しており、2024年には日本の1.5倍に達するという現実を考えると、韓国が日本との協力関係の下にある場合は、これが日本の安全保障上の資産にもなる。

しかし、日韓関係が悪化し、日本が防衛ラインを対馬海峡にまで下げなければならないような事態が生まれた場合、現在の「戦略的無視」は将来的に日本に大きなコストを生むことになる。

そしてこれは、韓国にとっても同じ構造となる。韓国が「レッドチーム」に入ることを決断するのであれば、日本を潜在的脅威とみなすことになるため、北東アジアの戦略環境は一気に流動化する。

韓国では、統一朝鮮を実現して核兵器保有国に発展や、戦略原子力潜水艦の建造(日本に対する打撃力を持つ目的で)など、物騒な主張が人気を集める。

それらに実現可能性があるとは思えないが、河野大臣が指摘するように、日本の1.5倍の国防費は無視できないものがあり、何の目的で、どう使われるのかを、日本は慎重に監視する必要がある。

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