「天才・ユーミン」少女時代の「仰天の伝説」の数々

「普通の子」が「荒井由実」になるまで
週刊現代 プロフィール

何がカッコいいのかを知っていた

ユーミンは小学校1年の頃からピアノのレッスンを受け、同時に伝統芸能・清元の三味線も習っていた。音楽家としての素地は、すでに幼少期から培われてきた。

そんな彼女は、とにかく早熟だった。ユーミンが初めてレコードを買ったのは小学6年生のこと。当時、彼女は同級生の伝手で、福生市の横田米軍基地にあるPX(米軍専用のスーパーマーケット)に入り浸っていた。

 

横田基地では、都心のレコード店でさえ入荷していない最新の洋楽レコードを割安で手に入れることができた。彼女にとっては、夢のような場所だったのだろう。ユーミンはそこでレコードを買い漁り、中学生の頃には100枚以上のアルバムを所有するコレクターになっていた。前出のシー・ユー氏が回想する。

「当時、ユーミンはウチのバンドの追っかけをしていたんです。銀座にあるジャズ喫茶『アシベ』や六本木のディスコ『ザ・スピード』で演奏するときなんか、よく顔を出してくれた。他の女の子がぬいぐるみやお菓子をプレゼントしてくれる中、彼女だけは違った。

『このアルバム、面白いから聴いてみて』と、堂々とした様子で話しかけてくるんです。普通、中学生が大人に対してそんなアプローチをしてくるなんて考えられないでしょう。面食らったと同時に、この子は只者ではないな、と直感しました。

レッド・ツェッペリン(Photo by gettyimages)

いざレコードを聴いてみると、これがまたスゴいんですよ。まだ日本では知られていなかった『レッド・ツェッペリン』のアルバムだったり。彼女が貸してくれたレコードからは計り知れない影響を受けました。

ユーミンには、何が新しいのか、どんな音楽がカッコいいのかを聞き分ける優れた耳と感度があったんです」

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