「異常なし」の誤解

マンモグラフィでは、乳腺もがんなどの病変も白く写るため(雪原で白うさぎを探すかのよう)、高濃度乳房は、がんがあるかどうかの判別が難しい…。にもかかわらず、国の対策型検診指針では、乳がん検診の結果として本人に知らせるのは「要精密検査」か「異常なし(病変は認められない)」のみです。

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10年前、高濃度乳房のため「判別困難」であっても、伝える仕組みがないという問題に取材を進める中で気づきました。定期的に乳がん検診を受けていても「異常なし」と通知され、ある日突然、進行した乳がんが見つかる。そんな事態が起きているのです。

マンモグラフィはしこりになる前の小さながんを見つけるのが得意で、世界で唯一効果が認められている乳がんの検診法です。だからこそ、国は40歳以上の女性に対し、2年に1回の受診を推奨しています。にもかかわらず、がんがあるかないか見えない場合でも、結果「異常なし」で、丁寧な説明もありません。多くの女性は自分の身を守るために、がん検診を定期的に受けているのです。結果が「異常なし」で返ってくると、誰もが「がんはなかった」と安心してしまいます。

乳がん検診には限界があること、乳房にはタイプがあってマンモグラフィでは見えにくい乳房もあることを知っていれば、セルフチェック(自己触診)を丁寧にして、乳腺濃度の影響を受けにくい超音波検査を自費で追加するなど、対策をとることもできます。