乳がん経験者の声が

マンモグラフィの結果を「異常なし(病変は認められない)」ではなく、「判別困難」であることをわかりやすく通知してほしい――。2016年、全国の乳がん患者団体の代表たち32人が集って、厚生労働大臣に宛てて、乳がん検診の受診者への通知方法の見直しを求める要望書を提出しました。厚生労働省で記者会見も行い、各メディアでニュースとして情報発信がなされました。

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要望書の提出後、国は厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」で議論の対象としてはいますが、検討会の専門家は「超音波検査のエビデンスが確立していない」「超音波検査を行う体制整備が整っていない」などを理由に、これまで通知の変更には慎重な意見でした。

ところが、11月13日の「第29回がん検診のあり方に関する検討会」で、大きな進展につながる重要な発表がありました。ちなみにこの「がん検診のあり方検討会」は、国のがん検診の対策を決定する最も重要な組織です。

この会に先だって、全国の患者団体の代表6名による「女性のがん検診対策に関するヒアリング会」が開催。当事者の声を聴きとり、その声が今回、発表されたのです。注目すべきは、結果のまとめの中に、「がん検診の結果(異常あり、なし)を伝えるだけでなく、結果の正しい理解の仕方や、結果を受けて何をするかをわかりやすく伝えるべきではないか」「(がん検診の)結果通知において、自分の体の理解を深めるような工夫をすることで、ヘルスリテラシーの向上につながり、結果的にがん予防に結びつくのではないか」と発表されたこと。当事者の声が、この会議で取り上げられるのは、初めてのことです。