ヘルスリテラシーを高める
「日ごろから乳房を気にして変化があった際は早めに気づく、“ブレスト・アウェアネス(Breast Awareness)”の意識を高めることが重要です。どんな検診も100%ではありません。検診には限界があります。検診でがんの疑いがないとされた場合でも、乳房の変化に気づいた際は、専門の医療機関を受診するべきです。このことは、ヘルスリテラシーを高めるきっかけにもなります」(笠原医師)

現状では、すべての自治体が高濃度乳房を含めた乳房構成(乳腺濃度のタイプ)を丁寧に知らせているわけではありません。各自治体に浸透するまでまだ少し時間がかかるかもしれません。しかし、自分の乳腺濃度のタイプ(高濃度乳房か、脂肪性乳房かなど)を知るために、自身で問い合わせることはできます。
乳がん検診後、乳腺濃度の通知がなかったら、「私の乳腺濃度はどのタイプですか?高濃度乳房ですか? 脂肪性乳房ですか?」と尋ねることができます。結果通知が郵送された後、この結果を問い合わせることもできますし、医療機関で検診を受け、結果を聞く機会があれば、その場で質問することも可能です。
まだ日本では、受診者の女性が自分で乳房のタイプを知り、その上で自分に合う検診の方法を考える必要があるのです。米国では既に、多くの州で高濃度乳房の通知が(一部、罰金刑を伴う)法律で義務づけられています。
今、日本女性の11人に1人が乳がんにかかり、女性のがん罹患率のトップです。特に45歳~50代の女性の乳がんが最も多い中、日本女性はさらにヘルスリテラシーを高め、正しい情報を得て、自分の身体は自分で守らなければならないのです。
※1 国立がん研究センターがん情報サービス 最新がん統計2015年
※2、4 平成29年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 厚生労働科学特別研究事業「乳がん検診における乳房の構成(高濃度乳房を含む)の適切な情報提供に資する研究」班.乳がん住民検診における「高濃度乳房」への対応についての提言Q&A集 Q1. 平成30年3月31日
※3 野間翠 他「マンモグラフィにおける乳腺含有率の定量化と病変の検知に関する検討」日本がん検診・診断学会誌.25.160-164,2018